病気がもたらした仕事上の好影響
元々負けず嫌いで変に正義感が強く自分なりのこだわりがある性格であるため、これまで仕事において悔しさや憤りを感じたり、人と衝突したりということが多々あった。それががんになってずいぶん変わったように思う。
何しろ、生きるか死ぬかという治療をしているのである。仕事上の細々したことなど、もう正直どうでも良くなった。仕事を続けているのは下の娘の学費を稼ぐため、そして幸いにも仕事内容が面白い(楽しい、ではない)と思えるから。やるからには正当に評価されたいと思っているが、過剰な熱意やこだわりはなくなり、これが案外良い効果を生んでいると思っている。
<不条理も流せる寛大な心>
仕事をしていると不条理だと思うことが多々あり、以前はいちいちその不条理について思い悩んだり心を乱されていたが、今は「まあいいか」とさらっと流せるようになった。組織のあり方や方針について納得いかないことがあっても、社員の安全や利益を大きく損なうことでなければ我ながら寛大な心で流すことができる(受け入れるということではない)。
<あくなき効率性の追求>
他の同僚よりも体力・持続力がない、体調が悪くなる時がある、治療のために定期的に休む、という現状。人よりも少ない時間・エネルギーで同等のパフォーマンスを達成するため、必然的に効率性と生産性を考えに考えて仕事に向き合うことになる。残業も厭わずがむしゃらに取り組む、という仕事のやり方が現実的に無理なので、車でいうところの”エコモード”かつ"最短ルート選択"で走っている感覚。
<柔軟なコミュニケーション>
・ 人を責める代わりに次善策を考える
・ 議論になった時に即引き下がる
・ 面倒臭い案件はエネルギー節約のためにうまく根回し
・ ぐちを言わない、つるまない
これ全て、無駄なエネルギーを消費しないためにおのずと身についたことで、以前のあちこちぶつかっていた自分がうそのようにコミュニケーション上級者に変身した。
そして、これはメリットとは違うのだが、病気を抱えて仕事に従事している者として大切だと思うのが、「病気になったことで卑屈にならない」こと。職場で肩身が狭いと感じるならば、それは病気のせいではなく単に仕事ができないだけ。また、組織・個人レベルで受ける配慮や特別扱いは喜んで受け入れること。申し訳ないなどと思わず、ただただその恩恵をありがたく享受すること。それが働く病人の矜持じゃないかと思う。
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